前回の①では、最近の”不登校”の傾向と【”学校に行くメリット”と”家にいるメリット”の比較】についての私見をお話させていただきました。
今回は、不登校に関連するカウンセリング場面でよく提案するアプローチ方法について書いてみたいと思います。
学校で受けるストレスは本当にその児童それぞれだと思います。『うるさい環境がつらい』『勉強が分からなくてつらい』『人がたくさんいる環境が苦手』『担任の先生が苦手』etc…. 同じ困り感を訴えても、それによって感じるストレスの大きさはその児童それぞれです。
私たち大人も仕事に行って感じるストレスやその内容は人それぞれだと思います。
でも、どうして仕事に行くのでしょうか?仕事に行かないといけないのでしょうか?日本人は勤勉で、なかなか仕事を辞めないし、途中で投げ出さない人も多くいます。
おそらくそれは多くの人が『お金のため』『生活のため』に『仕事に行っている』からだと思います。
『お金』と『仕事』の関係は、わかりやすいと思います。『出勤して働けば、労働契約通りの報酬が得られる』、『1日休めば、その分月給あるいは時給が得られない』とメリット・デメリットがはっきりしていると思います。
それでは、児童の場合はどうでしょうか。
学校に行っても、『コミュニケーションの苦手さ』や『環境との不一致』などがあれば、”登校行動”の負担は上がります。それに対して、”登校行動”によって得られる自覚できるメリットは多くありません。(潜在的には、社会性や学力、協調性などたくさんあるでしょう…)
一方で、学校を休むと自覚できるメリットはわかりやすいです。
”ゲーム”、”youtube”もそうですが、”お母さんと一緒に家で過ごせる” という安心感、安全感はかなり大きいメリットです。
私がよくお話させていただくのは、『天秤理論』です。
簡単なようで難しいですが、『お家の中の法律』を作って、この天秤を調整することが大切です。
社会では、スピード違反しても駐車違反しても切符を切られて減点(罰金)されるだけで、警察官から怒鳴られたり叩かれたりすることは有りません。注意はされるかと思いますが・・・
同じように家庭でも”法律”が大切と考えています。「(学校休むよりも)法律を守った方が得!」というような仕組みづくりが大切です。
大人の場合は何年間か無事故無違反でしたら、ゴールド免許になりますが、児童の場合はもっと短期的なメリットを提示する必要があるでしょう。
カウンセリングでは、こういったルール作りの中身を一緒に考えながら、児童も保護者も楽しく一緒に考えることをやっています。
”法律”は押し付けずに一緒に作ることが大切です。将来を見据えてお互いが負担なく過ごせるような”法律”を見つけていくと生活のしやすさが上がります。
以上、教育現場の問題を扱う際のカウンセリングの基本マニュアル〜不登校編〜でした。