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教育現場の問題を扱う際のカウンセリングの基本マニュアル〜不登校編〜①

ココロおき楽では、不登校のカウンセリングも多く受けています。出向先であるスクールカウンセラーとしても相談の7〜8割は”登校しぶり”、”不登校”の相談を占めています。

 『不登校』とは、『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの』と定義されています。
 平成30年のデータでも小学生で44841人(全体の0.8%;前年比28%増)、中学生で119687人(全体の3.6%;前年比9.8%増)、高校生で52723人(全体の1.6%;前年比6.2%増)となっており、見過ごすことができない問題であることがわかると思います。

 今回は、ココロおき楽のカウンセラーが”不登校”の問題を扱う際に取り組んでいる方法としてのマニュアルを書いていきたいと思います。

 前提として、生徒や教員からの”いじめ”被害の有無を明確にしておくことは絶対条件です。”いじめ”が存在しているのにも関わらず、無理に学校に行くことは全く望ましくなく、まずは”安全な環境”を確保することが最初にすべきことです。
 また、本人が「学校に行けるようになりたい」とほんの少しでも考えていることも前提条件です。どんな児童もむやみやたらに不登校改善!としてアプローチをすることは全くありません。
 今のしんどさを改善するため、将来を見据えて介入していきます。

  その上で、”介入”が必要と合意が得られた場合に限り、『不登校』や『登校しぶり』の要因となっているものには、どんなものがあるのかを整理する必要があります。
 私が担当したケースでは小学生や中学生の本人に学校へ行けない・行きたくない要因を聞いた場合、殆どのケースで「わからない」という返答でした。
 これは、【言語発達が未成熟であるため上手く説明できない】、【本当に何故か分からない】、【分かっているけれど言いたくない】などが考えられます。

 現在、学校不適応に陥っているいくつかの可能性を考えていく中で、心理社会的介入をしていくことが重要となってきますが、本人の特性如何を検討する前にまず環境要因を検討することから始めることが多いです。

[1]いじめなどの”危険”な状況がないか
 冒頭でも記載したように、いじめの有無を確認することは不可欠です。まず本人の「安心」「安全」な感覚が保証されての”適応”が可能になります。

[2]”学校”と”お家”の居心地の良さが”アンバランス”すぎないか
 保護者や学校の先生の中には『学校は楽しいもの』と疑ってやまない方もいらっしゃいます。それはそれで素晴らしいことで、自身の経験に基づくところも多いでしょう。
 しかしながら、親御さん世代と現在の世代とでは学校環境や児童の取り巻く環境が大きく変わっています。それを”同じ”と考えてしまうことは少し無理があります。

この[2]の部分を説明する機会が多いので少し詳しくお話させていただこうと思います。

[2]”学校”と”お家”の居心地の良さが”アンバランス”すぎないか

 現在は、ゲームやYou Tubeがあり、学校へ行かなくとも”寂しさ”、”退屈”を紛らわす手段がたくさんあります。また、オンラインでクラスメイトや県外・海外の人とも繋がることができます。
 一方、学校では固い椅子で家のソファよりは座り心地が悪く、暑い・湿気も多い、苦手な友人や先生がいるなどネガティブになり得る環境要因がたくさんあります。家庭にいると、そういった要因を一切は以上することが可能でしょう。
 “学校に行けない”、”学校に行きたくない”ことに対する介入を『みんなできているんだからあなたもやって当たり前』では厳しいものがあります。
 物事を乗り越えるためには、その人(その児童)それぞれに負担度が異なり、同じストレスを受けても感じ方は人それぞれです。

 ”学校に行くことのメリット”はたくさんあります。
◯学力の基礎となる勉強ができる
◯社会性が身につく
◯コミュニケーションが上達する
◯友だちができる
◯集団生活に慣れる
◯集団に身を置くことで自己理解が進む      
 など色々あるでしょう。

 一方、

”学校に行かないメリット”を敢えてあげると…
◯お母さん(あるいは、お父さん)と一緒にいることで安心
◯他者との人間関係によるストレスがない
◯ゲームやYou Tube(娯楽)ができる
◯気温や湿度が快適に調整できる
◯好きなものを好きな時に食べられる
◯勉強内容を自分で調節できる(やるやらない含めて)
 などがあるかと思います。

 これら2つのメリットを比較すると、それぞれの差は『長期的にメリットが有るか』『短期的にメリットがあるか』に分かれます。
 児童期・思春期の段階で本人が短期的なメリットや欲求を抑制して、辛いことにも我慢して長期的なメリットを選択することは簡単にはできないことでしょう。
 その点を理解して”不登校支援”をすることの重要です。

 そこで、”学校に行くメリット”と”学校に行かないメリット”を天秤にかけてバランスをとるようなアプローチを提案しています。
 ただ「将来のため・・・」や「高校に行くため・・・」などと言った言葉掛けは本人がイメージしにくく、嫌悪感が生じるだけなのでお互い不快になってしまうだけです。
 親子でお互いが中長期的に持続可能な努力でやっていけるようなアプローチ方法を提案します。

 その介入方法については次回に続けたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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